検索エンジンや広告をクリックしたユーザーが、最初に辿り着くページをランディングページ(LP)と言います。
本稿ではLPのコンバージョン率を最適化(LPO)する際に確認するべき、ストーリー性とブラッシュアップするときに注目するべき要素について考えていきます。
LPOとは
LPOとは、ランディングページ最適化(Landing Page Optimization)のことです。ランディングページ(LP)のパフォーマンスを最大化するための最適化が狙いです。
LPOに取り組むことでランディングページの精読率アップ(離脱率低減)、狙ったアクション(コンバージョンアップ)を可能とし、結果を出すWebサイトへと近づけます。
LPOの重要性
ランディングページは、訪問者が特定のアクションを取るために設計されたページです。そのため、LPOはマーケティングキャンペーンの成功に直結します。以下に、LPOの重要なポイントを説明します。
1. コンバージョン率の向上
LPOは、ランディングページのデザインやテキスト、コンテンツを改善することで、訪問者が目的のアクション(例えば、購入や登録)を取る確率を高めます。これにより、広告投資に対するリターンが最大化されます。
2. 離脱率の低減
効果的なLPOは、訪問者がランディングページをすぐに離れてしまうことを防ぎます。ユーザーフレンドリーなデザインと明確なメッセージが、訪問者を引き留める要素となります。
3. 顧客満足度の向上
最適化されたランディングページは、訪問者にとって使いやすく、情報がわかりやすくなります。
4. 広告パフォーマンスの向上
コンバージョンがアップすれば、同じ広告費を投入しても高いリターンが得られるようになります。余剰分をさらに広告費として投入すれば、さらなる売上アップが目指せます。
コンバージョン率が異なると、具体的にどう数字に現れるのか。同じ条件でシミュレーションしてみましょう。
- ケースA、Bともに同じ広告費で同じアクセス数を集められるものとする。
- ケースAは成約率1%、Bは成約率2%。
- 広告費5万円で1000UU集められるものとする。
- 商品の定価は1万円。
- 利益はすべて広告費に回すものとする(原価は0円とする)。
1回目の広告(5万円)
1000UU(アクセス数) x 1%(成約率) x 1万円(定価) = 10万円(売上)
2回目の広告(5万円)
1000UU(アクセス数) x 1%(成約率) x 1万円(定価) = 10万円(売上)
3回目の広告(5万円)
1000UU(アクセス数) x 1%(成約率) x 1万円(定価) = 10万円(売上)
1回目の広告(5万円)
1000UU(アクセス数) x 2%(成約率) x 1万円(定価) = 20万円(売上)
2回目の広告(15万円)
3000UU(アクセス数) x 2%(成約率) x 1万円(定価) = 60万円(売上)
3回目の広告(45万円)
9000UU(アクセス数) x 2%(成約率) x 1万円(定価) = 180万円(売上)
5. 顧客獲得の効率化
LPの成約率が上がると、見込み客・顧客の獲得コストが下がります。
顧客獲得コストが下がると、広告を回しやすくなるため、継続的な売上アップに繋がります。
ランディングページに求められるのはわかりやすさ+回答力
ランディングページに必要な要素は大きくわけて「わかりやすさ」と「回答力」だと思います。少し例え話を使ってユーザーのどの心情にランディングページで応えていくべきか考えていただけたらと思います。
ランディングページの構成は「わかりやすく」する
ランディングページに辿り着いた流れにもよりますが、広告から流入した場合、その多くのユーザーがはじめてそのサイトに来たという可能性が高くなります。はじめての場所に突然連れてこられたユーザーにとって、ココは何がある場所なのか、次はどうしたらいいのか?を素早く伝える必要があります。ユーザーの心情としては以下のような状態です。LPに置き換えたときにどのように最適化したらよいか考えてみましょう。
Aというお店を知人に勧められたお客様が、A店が入っているショッピングモールに訪れたとします。そのお客様はたまたまA店から遠い入口からショッピングモールに入ってしまいました。
ここまでがユーザーがWebサイトに訪れたシーンの例ですね。Aというお店があることだけを知ってモールにユーザーが訪れた。ユーザーはこれからどうやったらAに辿り着き、目的を達成できるのかを知りたいという状況です。
そこで目の前にあった店舗紹介の看板からAが確かにモールにあることを確認、その横にあったインフォメーションカウンターに「Aのお店に行きたいのだけど…」と伝えます。
インフォメーションをわかりやすいところに配置されていてよかったですね。インフォメーションが分からなかったらAに行くことを諦めて退店していたかもしれません。
LPの場合は訪れたユーザーのファーストビューで「ここには目的のものがある」「次にとるべきアクションはこれ」というのが一定理解された状態です。あなたのページはファーストビューでそのような印象を与えられているでしょうか。
ユーザーが求めているものを提供する
ユーザーは求めているものを得るために行動をします。コンバージョン率を引き上げるには、こちらの促したい行動にユーザーの目的を重ね合わせ、手に取ってもらえるような、メリットを感じてもらわなくてはいけません。
ユーザーにメリットを想像してもらうには構成にストーリー性をもたせると効果的です。ページを読み進めることでどのようなイメージを展開してもらえるようにするのか、考えてみるとよいでしょう。なかなか言葉で説明するのが難しいのですが、どのようなイメージを構成に落とし込むと効果的か3パターンに分けて例示します。
予想通りのモノを返される
【1】A店に行きたいと聞いた案内役の方は手元の地図を指さし「ここの道をまっすぐ進んで、つきあたりを左に…」と現在地からA店までの案内をしました。
一見よい感じの対応に見えますが、この案内は最低限であり、思ったように効果がでないかもしれません。分かったつもりになって、いざ進みだしてもユーザーは迷ってしまうかもしれないからです。LPの場合、迷ったユーザーは離脱する可能性があります。
予想よりも良いものを返される
【2】A店に行きたいと聞いた案内役の方は「こちらです」とユーザーをA店に連れて行きました。
シンプルですが、迷うことなく確実にA店へ案内できます。道を聞かれただけでしたが、ユーザーの予想を少し越えたサービスを返しているのではないでしょうか。LPの場合でも予想よりも少しよいものが手に入る期待感は最終的な行動を引き出すために重要です。
想定していないものを返されたが、結果より満足することができた。
【3】A店に行きたいと聞いた案内役の方は、お客様の少し悩まし気な表情を読み取りました。そして、なぜA店行きたいのですか?と聞き返します。すると、孫へのプレゼントを買いに来たということ、半年前に孫から欲しいと聞いていた玩具がなかなか見つからず、中古で取り扱いがあるらしいA店に行きたいということでした。
お孫さんが欲しいといっていたおもちゃに、新製品が出ていることを知っていた案内役はお客様に伝え、その取扱いがあるC店に「こちらの方が喜ばれるかもしれませんよ」とお連れしました。
ユーザーの表面的なニーズよりも本質的にあるニーズに応えるように対応をした例です。一見ニーズにすぐ答えないという対応は簡単にできることではありませんが、より大きな満足感とファン化を狙うことができます。
ユーザー自身が考えてもいないようなことが、本質的なニーズであることも多くあります、想定上のニーズを満たせる。そんな可能性を感じるストーリーをランディングページに落とし込むと、自然と結果はついてくるでしょう。営業を掛ける面白さはここにある気がします。
1例目くらいのシンプルなストーリーでも無料レポート、メルマガ登録くらいの訴求でしたら充分に行動を引き出すことができます。
2例目くらいのストーリーがないと、有料サービスの販売に使用するLPとしては難しいのではないでしょうか。
理想的には3例目のストーリー展開を目指し、ユーザーが本質に目覚め、真に求めるものがここにあるかもしれないという期待感を引き出すことができると、自然と行動に繋がると思います。
コンバージョン率が高いLPは3例目のような、ニーズの本質に応えることができているストーリーに長けていると思います。
LPOに取り掛かる時に気を付けたい視点
全体構成について、ファーストビューで目的に辿り着けそうだと思ってもらうこと。次のアクションがわかりやすいこと。そしてその先に行動をしてもらうには、目的を達成できるという期待感を膨らませることを書きました。
ここからは、LPOを行う際に確認するべき視点をについて紹介していきます。
できるだけシンプルに
ページのデザインは、ビジュアル要素をたくさん盛り込み過ぎないようにしましょう。複雑なビジュアルはユーザーを迷わせる原因にも成りえます。
テキストはなるべく少なくする
ユーザーが隅々までテキストを読み込むと想定してはいけません。斜め読みであっても正しく理解されるよう意識した見出し、言い回しを心掛けましょう。できるだけ簡潔にわかりやすくすることがLPOでも重要です。
ユーザーの選択肢を限りなく少なくする
最終的に引き出したい目的のアクションを明確にしましょう。メルマガ登録なのか、購入なのか、あまり欲張った行動を引き出そうとしない方がよいでしょう。それぞれに特化したストーリーに仕立てる方がオススメです。
ブランディングをしている場合はイメージに一貫性を持たせる
ランディングページに辿り着いたユーザーはその時点でなんらかのイメージを持っています。有料広告をクリックしてきたユーザーならバナーのイメージに魅力を感じている場合もあるでしょう。
商品・サービスに打ち出しているイメージがあるのであれば、そのイメージとのシンクロすることは大切な要素です。ユーザーのもつイメージ、広告イメージ、とページのイメージが一貫しているかチェックしましょう。
親近感を持たせる
フォント、デザイン、親身な言葉選びなど、サービスを利用している企業紹介など、ユーザーに孤独感を感じさせない構成を意識しましょう。多くの人から受け入れらていているように感じるかどうか?が一つの線引きと思ってよいでしょう。
ユーザーの心配事を減らす
購入を促すページであればココで買って問題がおきないかどうか。ユーザーは常に不安を感じているというくらいの想定でよいでしょう。ユーザーの些細な不安も取り除くような意識をもって、保証をつけたり、SSL証明書を掲示したり、プライバシーマーク、フリーダイヤルの採用などを取り入れるとLPOとしても効果があると思います。
目的のアクションはしっかりと目立たせる
ユーザーから引き出したいアクションにつながるリンク、ボタンはしっかりと目立たせるようにしましょう。デザイン、動きを駆使してランディングページの中で一番目立つよう心掛けましょう。
検証は充分なサンプルが揃ってから
少ないサンプル数で検証を行わないほうがいいでしょう。たまたま数字がよい、悪いことが珍しくないからです。もし短期間にブラッシュアップしたい場合は、広告費をある程度かけてアクセス数の母数を増やすなどの方法がありますね。
ランディングページの最適化はサイトコンテンツの重要事項
アクションを引き出す確率を引き上げると、成果が爆発的に伸びる。本来はSEO、SEMなど、流入を増やす施策を行う前にLPOは取り組むべき内容です。しかし、そう簡単に引き上げられないのも事実。
少ないサンプルからの検証に右往左往するのは得策ではありません。そういう時はまず自分が一番の消費者になること。多くのLPに触れ、自分がいいなと感じる体験を多く経験することが近道ではと思います。
ランディングページをブラッシュアップする時の参考にしていただけたら幸いです。LPOが進んだら以下の記事を参考に集客(SEO、SEM)にも力をいれていきましょう。
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第1回:ランディングページとは?
第2回:ランディングページの作成方法
第3回:売れる要素
第4回:LPの成約率
第5回:LPOとは(当記事)