「オウンドメディア」という言葉がウェブマーケティングに持ち込まれ、理解が広まったのは2014年頃のこと。

最近ではあまり聞かれなくなりましがが、オウンドメディアとはなんだったのか。今でもオウンドメディアは企業の売上に貢献するのか。本稿ではオウンドメディアとは何かというところから、活用するためのメソッドをまとめていたいと思います。

オウンドメディアとは

オウンドメディア(Owned Media)とは、企業や個人が自らの情報発信のために所有・運営するメディアのことを指します。従来の広告やマーケティング手法では、メディアと企業の関係は一方通行であり、企業が広告を出稿する側、メディアが情報を発信する側という関係でした。しかし、インターネットの普及により、企業や個人が自らの情報を発信できる環境が整い、それに伴ってオウンドメディアに注目が集まりました。

元々は自社発行しているすべてのメディアを指す言葉でした。広報誌やパンフレットも自社で発行していればオウンドメディアなのです。ところが、ウェブにその言葉が持ち込まれた時、ウェブ上の自社メディア(主にコーポレートサイト)と限定された定義に変わったように思います。本来は自分がコントロール可能なメディア全般という意味があります。

ウェブにおける広義のオウンドメディアは、SNSはもちろんメルマガやECサイト、YouTube、ウェブ広告も含まれます。つまり、かなり広範囲な概念と言えるでしょう。

オウンドメディアのはじまり

海外から輸入された「オウンドメディア」という言葉が国内で広まったのは2014年。当時はオウンドメディアが企業の認知度・売上に貢献するものであると認識されはじめたころです。

2015年3月にはサイバーエージェントが「AmebaOwnd(アメーバオウンド)」というサービスを立ち上げ、話題を呼びました。当時のオウンドメディアに対する期待が感じられる事象の一つでしょう。

オウンドメディアとコーポレートサイトの違い

オウンドメディアとコーポレートサイト(企業サイト・会社紹介サイト)は、広義の意味では違いはありません。ですが、オウンドメディアは情報発信が主である一方、企業サイトでは積極的な情報発信が行われていないのが実情です。

会社概要など最低限の情報を公開するのみに留まっている企業サイトでは、集客はおろか、ユーザーから興味や認知度を引き出すことはできません。そういった既存の企業サイトから、情報発信に一歩踏み込んだサイトがオウンドメディアと言えます。

オウンドメディアは過去のもの?

最近はあまり叫ばれなくなったオウンドメディアですが、もう企業の売上には貢献しないものとなったのでしょうか。それは違うでしょう。むしろ、年々重要性が増しているのが現実です。

オウンドメディアの運営メリット

オウンドメディアのメリットは次のようなもの。いずれも重要な視点でしょう。

  • 質の高い見込み客の獲得
  • コンテンツの資産化
  • 広告宣伝費の抑制
  • 顧客との関係性を深める
  • ウェブであるがゆえに効果測定しやすい

企業の売上に貢献している

会社概要や事業紹介など、最低限の情報公開に留めているコーポレートサイトは、パンフレットの役割も発揮していません。それなら帝国データバンクの情報の方がまだ役に立ちます。

コーポレートサイトをオウンドメディアとして機能させることで、集客や顧客獲得などの価値を創出します。先に挙げたメリットが活きてくるわけですね。

具体的な数字を例に挙げると、毎月10万ユーザーを検索やSNS経由で集められたとすれば、1ユーザーあたりの価値を100円で計算すると、1000万円くらいの価値を算出できます。(上記の数字はあくまでも仮定)

最低限の情報公開に留めているコーポレートサイトだと0円になります。サイトで情報発信するか否かで、これだけのインパクトの違いが出てくるということです。

もちろん集客ができるコンテンツを用意するのは手間と時間のかかることですが、そこに至ったオウンドメディアでは、実際に売上に貢献するメディアを所有できているわけです。

ライバルは減っている?

過去と比べ、コーポレートサイトを所有する企業の割合は上がっているものの、情報発信を積極的に行う企業は増えていません。むしろX(旧ツイッター)などのSNSに流れる企業がほとんどです。

SNSも1つの重要なチャネルであることは変わりないものの、Webサイトは航空母艦・旗艦となる場所なので、そこで公式の情報を発信することには意義があります。SNSという簡易な情報・ゆるい結びつきではなく、実際に購入に結びつくような関係性を作り出すには、コアな発信が必要です。

企業が持つ知見や技術を世にわかりやすく発信することは、顧客・潜在顧客にとってもメリットのあることです。それを足がかりにして、あなたの会社を世に広めるのに使う。その時にオウンドメディアが初めて役に立ってきます。

情報発信を積極的に行う企業が減っている今だからこそ、着実にコンテンツを充実させていくメリットが大きいのではないでしょうか。

オウンドメディアを運営する前に考えておくべきこと

メディアには「誰に何を伝えるのか」というターゲット決めとどれくらいの頻度で更新するかを最初に決める必要があります。なぜなら、ターゲットが決まらなければ広範囲のネタを扱うメディアになってしまう可能性があるからです。そうすると大手メディアと情報のリーチが被ってしまうので、不利な競争を強いられることになります。どこまでターゲットを絞るかはとても重要な要素です。

また、誰がどれだけ投稿するか、そのリソースもあるのかといったことをあらかじめ想定しておくことも重要です。せっかく新規でウェブメディアを立ち上げたのに誰も更新しなくなれば、まったくもって無駄なサイトになってしまいます。記事を継続して書いていくにはそれなりの時間と労力が必要です。どれくらいのペースで記事を書いていくかもあらかじめ決めておいた方が良いでしょう。

オウンドメディアにおけるSEO

メディアに限らず、商品やサービスにおいても同じなのですが、初期状態(起ち上げ当初)は極力ターゲットや発信する情報を絞るほうがうまくいきやすいです。パン屋さんを開業するなら、商品をクロワッサンだけに絞るとかですね。「絞る」というのは、その方向に対しては大きな強みになるのです。クロワッサンだけ扱っているパン屋はクロワッサンのスペシャリストとして認知されやすいのと同じです。

オウンドメディアのSEOも同じで基本的にはロングテールを最初に狙いに行くことが良しとされています。得意な分野を徹底的に狙い、そこで確固たる地位を確保する。情報発信の範囲を広げていくのはその後です。

オウンドメディア構築に最適なウェブテンプレート

オウンドメディアの肉となるのはコンテンツ、そして骨となるのはウェブデザインです。健康な骨があるからこそ肉も活きてくる。オウンドメディアを素早く成功に持っていくために高品質なウェブテンプレートを活用してください。

まとめ

以上がオウンドメディアを活用するために必要なメソッド記事のまとめです。

強いオウンドメディアを持つところはインターネットの世界では長く生き残ることができます。ここにも書いてある通り、自社メディアが弱いところは楽天市場やホットペッパービューティーなどのプラットフォームに依存しなければ生き残れないので、低い利益率の中で戦わなければいけないからです。

メディアを持たない企業は遅かれ早かれいずれ退場することになります。ここで紹介した記事は基本的なことばかりではありますが、それゆえに重要だったりします。

「オウンドメディアとは」の記事一覧

第1回:オウンドメディアとは(当記事)
第2回:オウンドメディアのメリット
第3回:オウンドメディアが制作できるWordPressテーマ一覧
第4回:誰に何を伝えるか
第5回:コンテンツの投稿計画
第6回:オウンドメディアとSEO