「キーワードなんて気にしなくていい」

SEOでは、「キーワードは意味がない・不必要である」という意見があります。
キーワードばかりに固執したSEOは無意味であり、キーワード選定の作業も必要ないという趣旨ですが、これは正しいのでしょうか?

そこでこの記事では、SEOにおけるキーワードの必要性について考察します。キーワードの意義について理解するキッカケになれば幸いです。

キーワードの必要性は薄れつつあるが無意味ではない

結論、キーワードの必要性・有効性は薄れつつあるが、決して無意味ではありません。その理由と根拠を解説していきます。

キーワード使用と検索順位には強い関連性がある

たしかにGoogleは、タイトルにキーワードが使われていなくても、ページ内容をある程度理解できるようになりつつあります。

ページ内容や検索ユーザーのニーズをキーワード以外からも読み取る技術は、今後ますます高まるのは確実です。将来的には、キーワードという概念を気にする必要がなくなるかもしれません。

とはいえ、現時点(2021年)では、キーワードの使用と検索順位には明らかな(しかも強い)相関関係があるため、キーワードの重要性は依然として高いです。
少し古いですが、検索順位に影響を与える施策の重要度を評価した以下の記事では、タイトルでのキーワード使用が最も順位に影響する、という結果になっています。

参考:titleタグ内でのキーワード使用 | Moz – SEOとインバウンドマーケティングの実践情報 | Web担当者Forum

2021年現在においても、ほぼすべてのSEO専門家が「タイトルでのキーワード使用は重要」と答えるでしょうし、それに反論できる人はいないでしょう。事実だからです。

キーワードは検索ユーザーの目印にもなる

もし仮に、将来的にキーワードの使用が検索順位に影響しなくなったとしても、キーワードの必要性がゼロになるわけではありません。
なぜなら、キーワードは検索結果において、検索ユーザーにとって目印になるからです。

キーワードで検索するという行為自体がなくなることは、恐らくありません。
そして、検索ユーザーが検索結果でページをクリックするとき、頼りにするのはキーワードです。

自分が打ち込んだ検索キーワードを探そうとするため、キーワードが含まれたタイトルはクリックされやすいのです。

このように、タイトルでキーワードを使うことは、クリック率向上にも役立ちます。
検索順位への影響が今後小さくなったとしても、キーワードの使用が無意味になることはないはずです。

参考:Google: As Search Engines Get Better At Intent, Keyword Research Won’t Go Away

Google広告のパフォーマンスにも影響

これはあまり知られていないことですが、キーワードの有無はGoogle広告のパフォーマンスにも影響します。出稿するキーワードがLP(ランディングページ)にも入っていれば、Google側は広告とLPの親和性が高いと判断します。

それがどの程度、入札単価や露出回数に影響するかはわかりませんが、セオリーとしてキーワードの有無が影響していることは確かです。

Google広告に出稿するキーワード数が数百と膨大になると、LP内にキーワードを入れることは難しくなってきますが、なるべくメインキーワードは入れておくことが望ましいです。

例えば、あなたがBASEのようなネットショップの開設サービスを運営していて、かつ広告を出すとすれば、「ネットショップ」というキーワードで統一するのではなく、「ECサイト」「ショッピングサイト」「オンラインストア」など有力な同義語をLP内に入れておいて良いかもしれません。

キーワードの偏向と軽視、どちらもいけない

キーワードが無意味、不要という考えは、たしかに一理あると思います。

たとえば、すべてをツールで抽出したキーワード起点で考えてしまうと、発想が狭まり、コンテンツのアイデアも限定的になりがちです。

検索ユーザーが日々検索するキーワードは本当に多種多様で、その数は増え続けています。
しかし、それらのキーワードがすべて、ツールで抽出できるわけではありません。ツールで抽出したキーワードだけに頼っていると、ごくごく狭い範囲の見込み客にしかリーチできない・・・ということも起こりやすいです。

また、競合の多くも、ツールで抽出したキーワードを対策してくるので、みんながみんな同じようなキーワードで、同じようなコンテンツを作っているという状況に陥りやすくなります。

競合度が必然的に高くなるので、狭いパイをみんなが奪い合うことになりがちなのです。
そうなると、強力なドメインのサイトだけが生き残り、ドメインが育っていない小規模なサイトは太刀打ちできないでしょう。

このようなキーワード偏向の弊害があるのは事実ですが、だからといって、キーワードを軽視していいわけではありません。

たとえば、検索数。キーワードの検索数は、市場の大きさそのものであり、ビジネスの成否に大きく関わってくるものです。

新しくビジネス立ち上げるときに、サイトTOPページで対策するような主要キーワードの検索数を調べて、市場の規模を正しく把握するのは必須でしょう。
需要がないキーワードではどうやってもビジネスは立ち上がらないからです。

自分では「このキーワードでみんな検索するだろう」と思っていたのに、実際にはまったく需要がないキーワードだった、ということもあります。

したがって、キーワードの検索数(需要)を定量的なデータで把握することは、SEOでは欠かせない工程です。

検索数の調査は、以下のようなツールを使います。

Googleキーワードプランナーとaramakijakeは無料で使えるツールです。Ahrefsは有料ツールですが、キーワード難易度や検索結果でのクリック率など、検索数以外の指標も確認できるので、より精度の高いキーワード調査ができます。

ビッグキーワードに執着しない戦略へ

キーワードに関して一つ、確実に言えることがあります。

それは、特定のビッグキーワードでの上位表示に固執するのはやめたほうがいい、ということです。意味がないとは言いませんが、ビッグキーワードでの上位表示を目指すのは、不確実で費用対効果も合わない施策であり、ほとんどギャンブルに近いからです。

もちろん、サイト名やブランド名、会社名などの指名検索キーワードは1位であることが望ましいですし、そうでないなら早急に対策を打つべきですが、その他のビッグキーワードで1位を目指すことに固執するのはやめたほうがいいでしょう。

その理由を、以下で詳しく解説していきます。

ビッグキーワードは難易度が高い

難易度はキーワードにもよりますが、一般的な話として、ビッグキーワードで上位表示するのは難しいです。容易なことではありません。

どれだけお金と工数をかけても、上位表示できる保証など一切ありませんし、仮に一位になっても、それをずっと維持できるかどうかもわかりません。

強力なドメインのサイトならまだしも、普通のサイトがビッグキーワードを狙って上位表示させるのは、できないとは言いませんが非常に困難です。ビッグキーワードではなく、もっと幅広い多種多様なキーワードに目を向ける必要があります。

つまり、ロングテールキーワードをしっかり拾っていくということです。

ロングテールキーワードを確実に拾っていくことが重要

ロングテールキーワードとは、3-4語で構成される複合キーワードのことです。スモールキーワードとも呼ばれます。

検索数こそ少ないものの、ロングテールキーワードはその数が豊富です。一つひとつのボリュームが小さくても、数が積み重なることで、大きな流入の柱になります。

ロングテールキーワードの例

検索数が少ないロングテールキーワードも、しっかり対策していく。数が積み重ねれば、大きな流入源になる。

しかもロングテールキーワードは、その一つひとつが、検索ユーザーの具体的なニーズやウォンツの塊であり、ビジネスにつながりやすいです。

複合キーワードのイメージ

ビッグキーワードよりもコンバージョンしやすく、しかも上位表示の難易度も比較的低いので、積極的にロングテールキーワードを狙うべきです。

ロングテールキーワードをサイト全体に網羅することで、多くの見込み客を獲得できるチャンスが広がり、サイトの網羅性・専門性が向上、SEOのパワーも強くなります。

ビッグキーワード固執と違い、リスク分散にもなるので、ロングテールキーワードを意識したSEOを実行してみてはいかがでしょうか?

まとめ

Googleの技術進歩によって検索エンジンはこれからも進化していきます。それによってキーワードの重要度が下がることはあるかもしれません。

ただ、2021年現在では、キーワードの使用と検索順位には、明らかな相関関係があるため、キーワードの重要性は依然として高いです。この傾向は続くはずなので、タイトルにキーワードを使うという点だけは、必ず意識すべきだと思います。

また、検索ユーザーが検索するキーワードをタイトルや本文で適切に使うことは、彼(彼女)らの注意を引きつけるための目印になります。仮にキーワード使用がランキング要因から外れたとしても、キーワードを使う意義は十分にあるでしょう。