Google Earthは、Googleが世界中の衛星写真を検索して、地球儀のように立体的に俯瞰、表示できるシステムです。Google Earth Proは、より高機能なソフトで、専用アプリをインストールして使うことができます。2012年には、無料で利用することができるようになりました。本記事では、Google Earth Proの使い方を詳しく紹介します。
目次
Google Earth Proの基本的な使い方
1. インストールの方法
Google Earth Proは、Windows、Mac PC用のアプリケーションです。Googleマップを3Dの立体地形で表現することができます。GoogleEarthProを利用するには、まずGoogle Earthの公式ページからダウンロードしてインストールします。インストールすると、PCのデスクトップ上にGoogle Earth Proのショートカットが追加され、これをクリックするとアプリを起動することができます。
アプリの操作メニューは、Windows用とMac用では若干異なります。両者の違いについては、以下の解説の中で注記しますので、参考にしてください。
2. 新規フォルダの作成
Google Earth Proで作成できるのは、上空の一点から目的地までの降下動画や、ある一地点から別の地点までの移動動画などです。
一続きの動画を作成するには、フォルダを作成するところから始めます。
まず、上部メニューから
Windows: 「ツール」 > 「オプション」
Mac: 「Google Earth Pro」 > 「設定」
で基本設定します。「ツアー」のタブを開き、次のような設定をします。
アイテム間の時間: 5秒に設定
アイテムでの待機時間: 0.6秒に設定
「ラインに沿ってジャンプ」のチェックを外す
次に、サイドバーの場所>お気に入りを右クリックして、追加>フォルダをクリックします。「名前」を入れます。ここでは、「東京観光ツアー」という名前をつけることにします。
3. 目印(目的地)の追加
次に、Google Earth Proが追跡する地点(目印、目的地)を追加します。「東京観光ツアー」フォルダを右クリックし、「追加」>「目印」をクリックします。
4. 目印の位置や拡大率などの設定
それから、都内の主要な観光スポット10ヶ所を「目印」に追加していきます。
都庁
新宿駅
国立競技場
六本木ヒルズ
東京タワー
日比谷公園
皇居外苑
銀座
東京駅
浅草
最初の目印(目的地)は「都庁」です。左上の検索窓に「東京都庁」と入れ、「検索」をクリックします。すると、Google Earth Proがズームアップして、都庁ビルの上空写真になります。ここで、都庁ビルの視角を調整します。なるべく、ビルが立体的で大きく見えるようにします。マウスのボタンを上下にロールすると、画面を大きくしたり小さくしたりすることができます。
また、画面右上のコントロールスイッチをマウスで操作することによって、画面の傾きを変えたり、回転させることができます。シフトキーを押しながらマウスボタンを上下させると、水平画角を調整することができます。シフトキーを押しながらマウスボタンを左右に動かすと、目的の地点を回転させることができます。このようにして、目的地の立体地図を自由に設定することができます。下の地図は、都庁ビルがアップで立体的に大きく表示させるように設定したものです。
このようにして、見える位置が決まったら、「東京観光マップ」フォルダを右クリックし、「追加」>「目印」をクリックします。すると、次のようなダイヤログが表示されますから、目印の名前を「都庁」にします。
次に、「表示」タブを開き、「現在のビューのスナップショット」をクリックします。これによって、Google Earth Proでこのビュー画面が表示されるようになります。
以上の操作をすべての「目印」(目的地)について繰り返し行います。続いて、「新宿駅」を目印に追加しましょう。今度は、検索窓に「新宿駅」と入れて検索します。再びマウスを用いて、ビューの位置、高度などの調整を行います。下のようになりました。新宿駅南口をアップした画像です。これでよければ、「東京観光ツアー」フォルダーを右クリックし、「追加」>「目印」として、「新宿駅」の名前を入れた後、「表示」タブを開き、「現在のビューのスナップショット」をクリックします。これで、目印が2ヶ所追加されました。同じような操作を残り8ヶ所についても繰り返します。
計10ヶ所の目印を追加しました。左サイドバーには、「東京観光ツアー」フォルダーの下に、9つの目印が追加されているのが確認できます。
5. ツアーの再生確認、調整
これで、「東京観光ツアー」をGoogle Earth Proで再生することができます。再生するには、「開始位置」を設定する必要があります。どこから再生を始めてもいいのですが、ここでは、地球儀の状態から開始することにします。マウスで、画面を地球儀の状態まで引いておき、上部メニューの「表示」>「ここを開始位置にする」をクリックします。
では、ツアーを再生してみましょう。サイドバーに追加された「開始位置」をダブルクリックすると、画面表示が地球儀になります。そこで、「東京観光ツアー」をクリックして、右下のフォルダーボタンをクリックすると、ツアーが再生されます。
ツアー再生の動画は次のようになります。
6. ツアーの保存と動画メーカー
ツアー動画が完成したら、これを保存して、動画メーカーでMP4の動画にします。まず、「東京観光ツアー」フォルダーをクリックし、下の再生フォルダボタンを押すと、画面下に再生バーが表示されますから、バーの右端にあるフロッピディスクのアイコンをクリックし、動画の名前をつけて保存します。次に、再生バーに×をつけて消去した上で、上部メニューの「ツール」>「動画メーカー」をクリックします。すると、動画を作成する画面が表示されますので、ここに「保存先」「動画パラメーター」「出力ファイル形式」を入れます。YouTubeを作成するのであれば、動画パラメーターはHD1080PまたはHD720P、出力ファイル形式はH.264でいいかと思います。「動画を作成」ボタンをクリックすれば、動画の録画が始まります。終わるまで、じっくりと待ちましょう。
動画が無事に録画され、PCに保存されたら、YouTubeにアップロードするなどして活用することができます。その前に、Premiere Pro、Final Cut Pro、Lumafusionなどの動画編集ソフトを使って編集すれば、より魅力的なツアー動画を完成させることができるでしょう。
7. GPSデータの読み込みと再生
以上の方法でもツアー動画を作成することはできますが、せっかく空中から複数の目的地を移動しながらバーチャルな空撮映像を作成することができたのですから、ちょうどドローンで空から撮影するように、地上の道路や鉄道のルートに沿ったバーチャル空撮映像ができれば、もっと望ましいところです。実は、GPXやKMLなどのGPSデータを使えば、それを実現することができます。
東京観光ツアー動画をGPSデータを使って作成する方法
先に作成した都内の主要な観光スポット10ヶ所を巡るルートのGPSデータを作成します。ツールとしては、Googleマイマップを用います。
1. GPSデータを作成する方法
Googleマイマップには、ルート作成機能とGPSデータファイル出力機能があります。ここではまず、「都庁→新宿駅→新国立競技場→六本木ヒルズ→東京タワー→日比谷公園→皇居外苑→銀座→東京駅→浅草」という、大きな通りに沿った空撮ルートを作成します。
WebページでGoogleマイマップにアクセスし、「+新しい地図を作成」ボタンをクリックします。上のメニューの「ルートを追加」ボタンをクリックします。
左のメニューに「無題のレイヤー」が追加され、AからBへのルートの入力欄が表示されますので、A欄に「東京都庁」、B欄に「新宿駅」と入力します。
表示された入力候補から適切なものを選んで入力確定すると、下のように、A「都庁」からB「新宿駅」までのルートが青色の線で描かれます。ここで表示されたルートは、車を使った2点間の走行ルートです。車以外には、自転車、徒歩によるルートも作成できますが、東京全体をカバーするツアー動画を作成するという目的に照らして、ここでは交通機関として、「車」を採用しています。残念ながら、Googleマイマップは、「電車」や「飛行機」によるルート作成には対応していません。
次の目的地までのルートを追加するには、左の地点A、Bの下の「目的地を追加」をクリックします。
Cという新しい目的地の入力欄が表示されますから、ここに「国立競技場」という地点名を入力します。すると、B 新宿駅からC 国立競技場までの走行ルートが新たに追加されます。
同じ手順を繰り返せば、最後の「浅草」までの全ルートを作成することができます。含まれる目的地の数は10個ですが、Googleマイマップで作成できる1ルートはこれが上限で、これ以上の目的地を入れようとすると、別のルートを作成しなければならないので、Google Earth Proでツアー動画を作成するには、目的地を10個以内におさめる必要があります。出来上がったルートマップには、後で参照できるようにするために「東京観光ルートマップ」とファイル名をつけておきましょう。
2. GPSデータの出力
次に、完成したルートを外部に出力します。「東京観光ルートマップ」の右側にあるマークをクリックし、下位メニューから「KML / KMZにエクスポート」を選びます。
エクスポートしたいのは、ルートの部分だけなので、「東京都新宿区西新宿2丁目8-1 東京都庁から東京都台東区浅草へのルート」を選びます。すると、ルート部分のKMZファイルが出力されます。
3. Google Earth ProへのKMZファイルの読み込み
そこで、いよいよGoole Earth Proのアプリを起動して、上部メニューから「ファイル」→「開く」とし、「…ルート.kmz」というKMZファイルを読み込みます。すると、下の画像のように、Googleマイマップで作成した「東京観光ルート」がGoogle Earth Proに綺麗に読み込まれます。
画面の左メニューの「フォルダ」マークをクリックすると、ルートに沿ったツアー動画を再生することができます。
4. ツアー動画の保存
ツアー動画を録画、保存する方法は、すでに「Google Earth Proの基本的な使い方」説明した通りです。まず、「東京新宿区…」フォルダーをクリックし、下の再生フォルダボタンを押すと、画面下に再生バーが表示されますから、バーの右端にあるフロッピディスクのアイコンをクリックし、動画の名前をつけて保存します。ここでは、「東京観光ツアー(GPSルート)としておきます。
次に、再生バーに×をつけて消去した上で、上部メニューの「ツール」>「動画メーカー」をクリックします。すると、動画を作成する画面が表示されますので、ここに「保存先」「動画パラメーター」「出力ファイル形式」を入れます。YouTubeを作成するのであれば、動画パラメーターはHD1080PまたはHD720P、出力ファイル形式はH.264nにします。下の動画は、このようにして作成し、YouTubeにアップロードしたものです。
5. 動画編集ソフトによるGoogle Earth Proツアー動画の編集
Google Earth Proで作った動画には、不要な部分が含まれています。また、BGMやテロップなどを追加すれば、さらに魅力のある動画にすることができます。そこで、今回作成したGoogle Earth Proで作成したツアー動画をPremiere Proを使って編集してみました。出来上がったものをYouTube動画にしたのが、次の動画です。
おわりに
Google Earth Proのツアー動画は、上部メニューの「設定」(オプション)画面で撮影高度、角度、移動の速度などを細かく調整することができます。それによって、まるでドローンから撮影したかのような「空撮動画」を手軽に作成することができるのが大きな魅力です。もちろん、本物のドローンを使った時のように迫力のある鮮明な映像作品をつくることはできませんが、これに近いツアー動画を制作することができます。ドローン制作には機材のコストがかなりかかりますし、法的な制約、事故のリスク、撮影旅行の費用などもかかります。Google Earth Proならば、こうしたリスクやコストを気にせずに、PCだけでドローンライクな動画を制作することができます。
本記事で紹介したのは、Googleマイマップで作成したルートをGoogle Earth Proに読み込んだケースでしたが、実際に旅行や登山、バイクのツーリングなどで走行したマップをGPSデータにしてGoogle Earth Proに読み込めば、自分が実際に辿ったルートをツアー動画で振り返ってみることもできます。
Google Earth Proを使って、皆様のお好きなツアー動画をぜひ楽しんでいただきたいと思います。
コメント