直帰率や滞在時間などのユーザー行動は、SEOに影響するのでしょうか?
Googleは明言していませんが、直帰率や滞在時間が検索順位に影響する可能性はあります。ただ、これらのユーザー行動を偽造して、Googleを騙すような行為は意味がありません。直帰率や滞在時間を改善するには、Googleの裏をかくテクニックに頼るのではなく、「価値あるサイトを作る」ことが重要です。
この記事では、直帰率や滞在時間などのユーザー行動とSEOの関係を考察します。そして、訪問者を釘付けにする「価値あるサイト」の定義と作り方について、お伝えできればと思います。
直帰率や滞在時間がSEOに影響する可能性はある
Googleは、個々のサイトを評価する目的で直帰率や滞在時間などのデータは使っていないと、度々公言しています。つまりGoogleの見解では、ユーザー行動はSEOに関係しないということです。
しかし、ユーザー行動と検索順位の間には相関関係が見られることが多く、順位付けのデータとして、Googleが活用している可能性はあります。一般的な感覚としても、訪問者が直帰せずにたくさんのページを閲覧して、サイトに長時間滞在しているということは、そのサイトの品質が高い(訪問者が価値を感じている)ことの証明になるはずです。
正直、滞在時間はそこまで影響しないと思いますが、直帰率(つまりクリックが発生するユーザー行動)は、検索順位に影響する度合いは大きいかもしれません。
なぜなら、
- 検索結果で自分のページがクリックされた
- しかしすぐに直帰されて検索結果に戻られた
- ほかの競合ページがクリックされて、そこのページ内容に満足して検索を終えた
という状況になると、競合ページのほうが価値が高いということになるからです。Googleがそのようなロジックを採用しているかどうかは不明ですが、Web上の様々な事例を見ると、そのような動きは確かに見て取れます。実際、検索結果でのクリックといったユーザー行動のデータをランキング指標に組み込むのは、技術的には容易なはずです。
もちろん、個人情報やプライバシーといった繊細な問題が絡んでくるので、Googleとしては公言しにくいのかもしれません。
仮に、直帰率や滞在時間などのユーザー行動がSEOに影響しないとしても、訪問者の満足度を高めるという観点から見れば、直帰率や滞在時間は、決して無意味な指標ではないはずです。直帰率や滞在時間のパフォーマンスが悪いということは、訪問者がページやサイトに満足していない(価値を感じていない)ということなので、改善する必要があります。
偽造したユーザー行動は意味がない
直帰率や滞在時間を改善するといっても、それらのユーザー行動を偽造して、Googleを騙すことは難しいです。
一時期、ユーザー行動を偽造する行為がクラウドソーシングで流行ったことがあります。「ページ上の誤字脱字を見つけてください」といった謳い文句でタスク案件の募集を出し、大量のワーカーにページを長時間閲覧させて、滞在時間を伸ばそうとする行為などです。
それによって検索順位が一時的に上がったという話は聞きますが、現在ではほとんど効果がないでしょう。検索結果で人為的にクリックを増やすような行為も同様です。
Googleも当然、そのような行為があることは想定していますし、何かしらの対策も打っています。人為的にGoogleの裏をかくのは無駄だといえます。
価値あるサイトを作ることが重要
直帰率や滞在時間などを伸ばすための細かな施策にこだわるよりも、価値あるサイトを作ることのほうが重要です。価値あるサイト、というと抽象的ですが、要は訪問者とってのベネフィットが直感的に伝わるサイトにするということです。
ベネフィットが直感的に伝わるサイトとは?
サイトに訪れた瞬間に、「ここには、自分の求める情報がすべてある」「ここで学べば間違いない」と直感させること。これが、ベネフィットが直感的に伝わるサイトです。たとえば、以下のようなイメージです。
このようなサイト構成であれば、「このサイトで何が得られるのか」というベネフィットを、訪問者は瞬時に理解できます。
職探しのコツ、履歴書作成ノウハウ、面接必勝法と、順々にコンテンツを読んでいけば、看護師転職に必要な知識が身につき、転職が成功するはず・・・という未来のイメージが湧くわけです。
上記のようなサイト構成にすると、サイトの回遊率が上がり、直帰率・滞在時間のパフォーマンスは間違いなく改善されます。
逆に、あまり良くないサイト構成は、以下のようなものです。
このような新着記事が並んでいるだけの構成は、サイト全体のコンテンツ構成が、訪問者からは見えづらくなります。どんなコンテンツがどれだけあるのかがわかりづらく、また、どんな順番でコンテンツを読んでいけばいいのかという優先順位も曖昧です。
こうなると、サイトから受け取れるベネフィットを、訪問者は感じづらくなります。「カテゴリ一覧」「ブログ記事一覧」などの曖昧なグローバルメニューも、それを加速させます。結果、すぐに直帰されるリスクが高まるのです。
PCサイトであればサイドバーなども活用できますが、SPサイトになるとサイドバーは表示できませんし、グローバルメニューもハンバーガーメニューとして隠れてしまうことも多いでしょう。そうなると、ファーストビューにはロゴと新着記事しか並んでいないという状況になるので、直帰率は確実に高まります。
サイトのコンテンツが少ない間は、新着記事を並べる構成でもいいかもしれませんが、コンテンツが充実してきたら、TOPページの構成をぜひ工夫しましょう。
専門性と独自性の高いコンテンツがあるかどうか?
サイト全体の構成に加えて、記事コンテンツのクオリティも、直帰率や滞在時間に影響します。具体的には、「他のサイトにはない情報だ! これは役に立つ」 という満足を訪問者に与えられているかどうか? が重要です。
そのためには、専門性と独自性の高いコンテンツを用意する必要があります。競合の焼き直しや一般論の寄せ集めのようなコンテンツではいけません。訪問者は、そのようなコンテンツを見飽きています。ウンザリしているのです。だから、あなたのサイトのコンテンツがありきたりな内容なら、「またか・・・」 と思われます。そして、直帰されます。
事実、Googleも、以下のようなコンテンツを避けるべきと明言しています。
ユーザーに付加価値をほとんどもたらさない、既存のコンテンツの焼き直し(またはコピー)。
出典: 検索エンジン最適化(SEO)スターター ガイド | Google 検索セントラル
SEOを目的としたコンテンツは、しばしば「一般論を書けばいい」ということが言われます。広告代理店や制作会社のプロでさえ、そのような主張をすることもありますが、間違った考えです。
ただの一般論に高い価値を感じる人はほとんどいません。多くの人が求めるのは、専門的で有益な独自のノウハウ・アドバイスです。そして、あなたが自身の専門知識を存分に発揮してコンテンツを作れば、その専門性や有益性の高さは必ず相手に伝わります。
サイト内のコンテンツは、そのトピックの専門家が作成または編集するようにしましょう。たとえば、専門知識や豊富な経験を持つ情報発信者が書いた記事であれば、ユーザーは記事の専門性を理解できます。
出典: 検索エンジン最適化(SEO)スターター ガイド | Google 検索セントラル
ここまで説いてきた、専門性を発揮することの重要性は、以下の記事に詳しくまとめています。SEOの重要な概念に触れているので、ぜひチェックしてみてください。
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まとめ
ここまで、直帰率や滞在時間などのユーザー行動とSEOの関係について、見てきました。
ユーザー行動のデータと検索順位の関係について、Googleは否定的な見解です。ただ、ユーザー行動と検索順位の間には相関関係が見られることが多く、順位付けのデータとして、Googleが活用している可能性はあります。
もちろん、真実は誰にもわかりません。
しかし、仮に直帰率や滞在時間などのユーザー行動がSEOに影響しないとしても、訪問者の満足度を高めるという観点から見れば、直帰率や滞在時間は、決して無意味な指標ではないはずです。
「価値あるサイト」として訪問者に認知され、サイトのコンテンツが次々と閲覧されていく状態を作ることができれば、直帰率や滞在時間は改善されるでしょう。
具体的には、
- 訪れた瞬間に「ここのサイトは自分の求める全てがある」と直感させること
- 記事コンテンツでは、専門性と独自性の高いノウハウ・情報を提供すること
この2点ができていれば、訪問者から価値あるサイトとして認識され、直帰率や滞在時間は改善されます。
価値あるサイトを作る原理・原則は、昔からずっと変わっていませんし、これからも変わることはないでしょう。ヒートマップを導入したり動画を記事冒頭に挿入したりといった施策も効果的ではあると思いますが、価値あるサイトの原理・原則を押さえていないと、そのようなテクニックも効果が薄くなります。
直帰率や滞在時間は小手先のテクニックでカバーするものではなく、訪問者が価値を感じるサイトを運営していれば、自ずと高いパフォーマンスを出せるものです。直帰率や滞在時間の話に限りませんが、ぜひ、Webサイト運営の本質を意識してみてください。そうすれば、正しいSEOをおこなえるはずです。
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