「SEOに強いWordPressテーマを教えてほしい」
「このテーマを使えばGoogleで上位表示するのか?」

WordPressテーマを選ぶ際、上記のように考える人は多いかもしれません。しかしSEOに強い、言い換えれば「上位表示しやすい」WordPressテーマなど存在しません。

この記事では、なぜSEOに強い(検索上位を獲得しやすい)WordPressテーマを探すことが無意味なのか、その理由を掘り下げて解説します。WordPressテーマとSEOの関係性や正しいWordPressテーマの選び方を理解する手助けになれば幸いです。

上位表示しやすいWordPressテーマなど存在しない

Google検索で上位表示しやすいWordPressテーマを探しているなら、それは無意味な行為だといえます。なぜなら、使用しているWordPressテーマと検索順位との間に因果関係は一切ないからです(仮にあったとしても証明のしようがない)。

Googleがサイトやページを評価する基準は実に多種多様であり、WordPressテーマそのものが検索順位に与える影響は小さなものです。もちろん内部リンクやコンテンツのUI・UXの設計がよほど酷いテーマであれば、クロール頻度やインデックス率、検索順位に悪影響を与える可能性はあるので、そのようなテーマは避けるべきでしょう。しかし言えるのはせいぜいその程度のことです。

インストールしただけで検索順位を自動的に引き上げるようなテーマは(筆者の知る限り)存在しないため、「SEOに強く上位表示しやすいWordPressテーマはどれか?」という視点でテーマを選ぶのは合理的とはいえません。

SEOに強いWordPressテーマを紹介している記事のカラクリ

「検索で上位表示しやすいテーマを選びましょう」
「これは究極的にSEOに強いテーマです」

このような書き方をしているアフィリエイトサイトや比較サイト、まとめ記事が散見されますが、ほとんどはデタラメだと断言できます。

「wordpressテーマ seo」で検索すれば、大抵どこも同じテーマを同じように紹介しているのに気付くはずです。その多くは、実際にそのテーマを使ったことがない書き手によって作られた記事であり、テーマのSEOパフォーマンスの検証などされていません。単にアフィリエイト報酬の良いテーマを「SEOに強い!」と言って紹介しているだけです。

本当にSEOに強いテーマを紹介するなら、全く同じコンテンツを用意し、テーマごとのインデックス率や検索順位の差異を事細かく比較しなければいけませんが、そのような検証は非常に手間がかかります。そのため、アフィリエイト報酬の良いテーマや検索上位の記事が取り上げているテーマを適当にピックアップして紹介しているだけに過ぎないのです。

そのような記事を鵜呑みにして「このテーマを使えば上位表示するはず」と安易に判断してはいけません。繰り返しになりますが、上位表示しやすいWordPressテーマなど存在しないからです。

WordPressテーマにおける「SEOに強い」とはそもそも何か?

WordPressテーマにおいては、「SEOに強い」というよりも「SEOに関する設定がしやすい」というのが正しいです。

  • ページごとのnoindex,nofollowの設定
  • ページごとのtitle,descriptionの設定
  • canonicalの設定
  • ユーザビリティに配慮したナビゲーション(内部リンク)
  • パンくずリスト
  • モバイル対応(レスポンシブ対応)
  • UI・UX向上に役立つ記事の装飾機能

これらの設定が可能なテーマは、たしかにSEOが考慮されたテーマだといえます。上記の項目は実装されていて当然といえるレベルのSEOであり、主要なWordPressテーマであればほぼ例外なくカバーされています(有料テーマであれば特に)。

つまり、主要なWordPressテーマのSEOパフォーマンスに有意な差はないということです。どのテーマを使っても、SEOで不利になることも有利になることもないでしょう。

「いやいや、HTMLの構造でSEOに差が出るんだ」という見解もありますが、それも実体的な根拠がほとんどなく、GoogleもHTMLの構造と検索順位の関係については否定的です。

HTMLの構造は直接的な品質シグナルではないため、検索順位に影響はしません。
Hタグの階層構造を意識したりtitleやmeta description、ul・olなどの要素を正しく記述したりする意義はたしかにありますが、それは検索順位を押し上げるためではなく、ページの内容をGoogleに正確に伝えるためです。

SEOに強いHTML構造というニュアンスの訴求をしているWordPressテーマでも、「上位表示しやすい」とは多くの場合言っていないので、誤解のないよう注意してください。

テーマをインストールしただけでSEOは強くならない

ここまで解説してきた通り、WordPressテーマ自体に検索順位を押し上げる効果はありません。特定のテーマをインストールしただけでサイトがSEOに強くなることはなく、それはSEOに強いと謳っているテーマも同様です。

検索流入を増やすには、カテゴリや内部リンクの設計、適切なキーワード選定、高品質コンテンツの作成などが重要であり、どのようなテーマを使っていようと、これらの施策なしにSEOが成功することはあり得ません。

逆にいえば、上記の施策をうまく実行すれば、使用しているテーマがどのようなものであれSEOの成果は出るということです。

脱SEO思考におけるWordPressテーマの正しい選び方

上位表示しやすいWordPressテーマが存在しない以上、SEOに強いか否か、順位が上昇しやすいかどうかといった視点でテーマを選ぶ必要はありません。

もちろんSEOが不要というわけではありません。検索からの流入は集客チャネルとして無視できないものではありますが、「●●●すればすぐ上位表示できる」という安易な思考は判断を誤らせます。SEOに偏った思考は取り払うべきだといえます。

「どのようなサイトを作りたいのか?」という目的を明確にして、その目的を実現できる機能やデザインを備えたテーマを選ぶこと。

これがWordPressテーマ選びの基本的な考えです。ごくごく当たり前の考えですが、SEOという狭い範囲で物事を見ていると、意外と盲点になりがちな部分かもしれません。「デザインや機能は良さそうだけど、SEOが心配・・・」という不安をこれまで抱えていた方も、その不安が杞憂であると理解できれば、テーマ選びの選択肢が広がるはずです。

もしテーマ選びに迷ったら、おすすめの有料WordPressテーマを紹介している以下の記事も参考にしてみてください。

ちなみに、多くの人が使っている有名なWordPressテーマを選ぶと他サイトとデザインが似通ってしまい、Googleからマイナス評価を受けるかもしれない・・・そんな心配があるかもしれません。しかしこれは杞憂だといえます。

仮にデザインやレイアウトが似通っていたとしても、コンテンツがオリジナルであればコピーサイト判定にはならないからです。それでも他サイトとの被りが気になるなら、サイトカラーやレイアウトパターンを細かく調整できるテーマを選んだり、独自性のあるヘッダー画像やロゴ、アイキャッチを設定したりするといいでしょう。

まとめ

ここまで、SEOに強いWordPressテーマを探すことがなぜ無意味なのか、その理由を掘り下げて解説してきました。

上位表示しやすいWordPressテーマは基本的に存在しないため、「検索で上位を獲得できるかどうか?」という視点でテーマを選ぶ必要はありません。SEOに強いと謳っているテーマも、それはあくまでページ情報がGoogleに伝わりやすい内部構造をしているという程度のニュアンスであり、決して上位表示しやすいわけではないのです。

WordPressテーマはサイト構築を効率化してくれる便利な存在ですが、過度なSEO効果を期待して導入するものではありません。「SEOのために」と考えれば考えるほど視野は狭くなり、正しい選択ができなくなります。簡単に上位表示できる魔法の装置や施策はないという「脱SEO思考」が必要ではないでしょうか。その思考があれば、テーマ選びはもちろん、その後のWordPressサイト運用でも致命的な失敗を避けられるはずです。