Google広告の「拡張コンバージョン」とは、より実数に近いコンバージョン値を取得するために既存のコンバージョンタグを補完する機能です。

昨今のiPhone/Androidなどのモバイル端末では、個人情報保護目的でユーザーデータの追跡が制限されています。そのため、Googleやfacebookなどのオンライン広告では、正確なコンバージョン計測が難しくなっている現状があります。「拡張コンバージョン」はそれによって漏れたコンバージョンを補う機能なのです。

>> 拡張コンバージョンについて – Google 広告 ヘルプ

本稿では拡張コンバージョンの使い方を解説します。

拡張コンバージョン導入のメリット・デメリット

メリット

サードパーティクッキーが使えなくなることで、リマーケティングやサードパーティでのCV計測が不可となります。拡張コンバージョンはそのための機能であり、導入によって次のメリットがあります。

  1. CV計測の精度向上
  2. リマーケティングが可能になる。
  3. Google広告の機械学習がより機能する。

拡張コンバージョンの導入により、5-17%のCVR向上があると言われています。

デメリット

拡張コンバージョンのメリットは1つだけあります。それは設定方法がわかりづらいことです。実装にはECの開発者が必要です。

拡張コンバージョンの設定方法

拡張コンバージョンを実装するには、事前に「グローバルサイトタグ」もしくは「Googleタグマネージャー」をサイトに実装している必要があります。

Google広告にログイン後、右上のアイコン「ツールと設定」→「コンバージョン」をクリックします。

Google広告設定

拡張コンバージョンを適用するキャンペーンを選択します。

Google広告コンバージョン設定

拡張コンバージョンをオンにし、実装方法を選択します。実装手段は4つあります。

  • コードを編集
  • グローバルサイトタグ
  • Googleタグマネージャー
  • API

拡張コンバージョンの設定

コード編集

ここではコード編集の解説をします。「コード編集」の場合はそのままにしておき、Webサイトにすでに埋め込んでいるグローバルサイトタグとコンバージョントラッキングタグを編集してください。

グローバルサイトタグ

head内に設置しているグローバルサイトタグを編集します。

設定前:

<script async src="https://www.googletagmanager.com/gtag/js?id=AW-123456"></script>
<script>
window.dataLayer = window.dataLayer || [];
function gtag(){dataLayer.push(arguments);}
gtag('js', new Date());
gtag('config', 'AW-123456');
</script>

設定後:
・ {‘allow_enhanced_conversions’:true} 追加。
・ 「AW-123456」は自身のGoogle広告ID

<script async src="https://www.googletagmanager.com/gtag/js?id=AW-123456"></script>
<script>
window.dataLayer = window.dataLayer || [];
function gtag(){dataLayer.push(arguments);}
gtag('js', new Date());
gtag('config','AW-123456', {'allow_enhanced_conversions':true});
</script>

コンバージョンページトラッキングタグ

コンバージョンページ(サンキューページ)に設置します。Googleに送信できるデータは以下です。

キー名 データフィールド
email メールアドレス
phone_number 電話番号
first_name 名前
last_name
home_address.street 番地
home_address.city 市区町村郡
home_address.region 都道府県
home_address.postal_code 郵便番号
home_address.country

すべてのデータを送信する場合は次のように記述します。「yourPhoneVariable」などは変数に変更してください。

<script>
var enhanced_conversion_data = {
"email": yourEmailVariable, ***「yourEmailVariable」は、ユーザーのメールアドレスを実際に格納する JavaScript 変数の名前に変更してください。以下の他の変数についても同様に処理します。値がハッシュ化されていないことを確認してください。

"phone_number": yourPhoneVariable,
"first_name": yourFirstNameVariable,
"last_name": yourLastNameVariable,
"home_address": {
"street": yourStreetAddressVariable,
"city":yourCityVariable,
"region": yourRegionVariable,
"postal_code": yourPostalCodeVariable,
"country": yourCountryVariable
}
};
</script>

Eメールと電話番号だけ取得する場合は次のように記述します(変数に変更してください)。わからない場合は、ECサイトの開発者に確認してください。

<script>
var enhanced_conversion_data = {
"email": {{ yourEmailVariable }},
"phone_number": {{ yourPhoneVariable }}
};
</script>

以上で拡張コンバージョンの設定は完了です。

参照: 拡張コンバージョンの変数を特定および定義する – Google 広告 ヘルプ

実装できたか検証する

拡張コンバージョン実装から72時間後に実装できたかの検証ができます。次の手順で進めてください。

  1. 管理画面の右上にあるアイコン「ツールと設定」→「コンバージョン」をクリック
  2. 今回拡張コンバージョンを実装にしたコンバージョンアクションを選択
  3. 上部のページメニューの「診断」ボタンをクリック。

以上で検証完了です。ヘルスチェックの診断結果を確認してください。

Chrome デベロッパー ツールで実装を検証する – Google 広告 ヘルプ

まとめ

Google広告の拡張コンバージョンの解説をしました。

設定は慣れていれば時間はかからないものの、EC開発者の手を借りる必要があることが注意点です。ただ、今後Google広告を利用していくなら必要な機能なので、ぜひ設定しておきましょう。

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