2025年1月、「DeepSeekショック」で世界中の注目を集めた中国製AI「DeepSeek」。名前は聞いたことがあっても、実際にどんなAIなのか、日本で使っても問題ないのか、気になっている人も多いのではないでしょうか。

本記事では、DeepSeekの特徴や使い方、料金プランを解説するとともに、実際にチャットを試してみて見えてきた、中国製AIならではの注意点も紹介します。


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DeepSeekとは?

「DeepSeek」は、中国・杭州のAI企業DeepSeek(深度求索)が提供するAIサービスです。ChatGPTやGeminiと同じくチャット形式で質問に答えてくれ、日本語にも対応しています。

2025年1月、米国の最上位AIに匹敵する性能をわずか数十分の一のコストで実現した「DeepSeek-R1」を公開。AI半導体大手Nvidiaの株価が急落するなど、「DeepSeekショック」として世界中に衝撃を与えました。

その後もモデルの更新を続け、2026年9月10日には最新モデル「DeepSeek V4.1 Flash」を公開。画像を読み取る機能にも対応しました。

利用できるのは、ブラウザから使えるWeb版と、iOS・Android向けのスマートフォンアプリ。開発者向けにはAPIも提供されています。

DeepSeekの特徴

DeepSeekの特徴を押さえるうえでのポイントは、「コストパフォーマンス」と「オープンウェイトモデルであること」の2つです。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

アメリカ製AI並みの性能と、割安な料金

DeepSeekの特徴は、性能の高さと料金の安さの両立にあります。

主要AIモデルの総合性能比較。中央やや右、クジラのアイコンがDeepSeek V4.1 Flash

第三者評価機関Artificial Analysisの総合指標「Intelligence Index」において、最新モデル「DeepSeek V4.1 Flash」は39点を獲得しています(2026年10月時点)。首位のAnthropic「Claude Opus 5.5」(58点)をはじめ、各社の最上位モデルとはまだ差があるものの、Google「Gemini 3.8 Flash」(41点)やOpenAI「GPT-6 Luna」(38点)といった中堅・軽量クラスのモデルとは肩を並べています。

料金面では、チャット機能は完全無料で個人向け有料プランすらありません。費用がかかるのは開発者向けAPIのみで、料金は100万トークンあたり入力0.3ドル/出力1.2ドル。同等性能のGemini 3.8 Flashと比べて半額以下に収まります。「GPT-6 Luna」ほど安くはありませんが、同じ性能帯の中では手頃な部類に入ります。

誰でもダウンロードできるオープンウェイトモデル

DeepSeekのもうひとつの特徴が、「オープンウェイトモデル」である点です。

AIの中身は、学習によって得られた膨大な数値の集まりでできており、これを「重み(ウェイト)」と呼びます。ChatGPTやClaudeの重みは非公開ですが、オープンウェイトモデルはこの重みのファイルが公開されていて、誰でもダウンロードできます。

DeepSeekは最新の「V4.1 Flash」でも重みを公開しており、規模は5,520億パラメータ。商用利用も含めて自由に使える「MITライセンス」のもとで提供されています。

チャットやAPI経由で使う場合、入力した内容はDeepSeekのサーバーに送られます。一方、重みをダウンロードして自社サーバーで動かせば、データを外部に出さずに済みます。さらに自社データで追加学習させ、業務や用途に合わせてカスタマイズすることも可能です。

ただし、個人のパソコンで動かせる規模ではないため、運用には企業のサーバーやクラウド環境が前提となります。

DeepSeekの使い方

それではここからは、DeepSeekの使い方について解説をしていきます。

STEP.1 アカウントを作成する

まずはDeepSeekの公式サイトにアクセスします。

チャット欄に入力しようとするとログイン画面が表示されるので、アカウントを作成しましょう。GoogleアカウントかAppleアカウント、メールアドレスなどから作成できます。

STEP.2 チャットを開始する

ログインが完了したら、さっそくチャットを試してみましょう。

なお、DeepSeekの画面でできることは基本的にテキストでのやりとりのみ。PDFや画像などのファイルを読み込ませることはできますが、ChatGPTやGeminiのように、画像や動画、スライドなどを生成する機能はありません。モデルの選択メニューもなく、裏側で最適なモデルが自動で選ばれる仕様です。

入力欄の下に、じっくり推論させる「ディープシンク」と、Webの最新情報を拾う「スマート検索」の切り替えボタンがあるくらいで、画面構成は極めてシンプルです。

それでは、試しに「今日の大阪の天気は?」と入力してみます。

プロンプトを入力

返ってきたのが以下の回答です。

実際の回答

日本のニュースサイトからリアルタイムの天気予報を引っ張ってきてくれました。参照元も表示されるので安心です。回答スピードもかなり速く、日本語にも違和感はありませんね。

STEP.3 アイデア出しを頼んでみる

続いて、企画やアイデア出しといったタスクも試してみましょう。

「街の小さな古着屋が、20代向けにInstagramでバズを起こすための体験型イベントを3つ提案して」と入力してみました。

返ってきた回答の概要が以下です。

1. 「1000円ガチャ古着」リアル開催
中身は店主が選んだ古着1点。開封リアクションの動画や「#古着ガチャ」での拡散を狙う。

2. 「古着リメイク体験&即撮影会」
店内の古着を選び、その場で簡単リメイク。「世界に1着」のビフォーアフター動画をリールで展開。

3. 「着回し対決!古着1着で3スタイル選手権」
参加者が1着で3パターンのコーデを撮影し、ハッシュタグで対決。いいね数や店主の審査で勝者を決定。

※回答の全文はこちらのリンクから確認できます。

抽象的なアドバイスでお茶を濁すことなく、具体的で解像度の高い提案が返ってきました。

各案には「バズる仕掛け」や「20代に刺さる理由」が添えられ、リメイク体験なら参加費は材料費込みで2,000〜3,000円程度、ミシン1台と手芸道具があれば実施できる、と運営面まで踏み込んでいます。

最後には「まず1つ目を試験開催して反応を見る」という進め方の提案まであり、ここから自分なりに膨らませていけそうです。

無料チャットでここまでちゃんとした回答が返ってくるのは、いい意味でちょっと意外でした。

STEP.4 中国に関する質問をしてみる

最後に、中国製AIならではの挙動も確かめておきましょう。まずは「習近平氏ってどんな人なの?」と聞いてみます。

回答は、経歴や政策、外交姿勢をまとめたものでした。一見すると普通の人物紹介ですが、並んでいるのは功績ばかりで、批判的な側面には一切触れていません。

そこで、「なんか良くない部分とかってある?」と踏み込んで聞いてみました。

実際の回答

すると質問には答えず、まるで公式声明のような文章が表示され、思わずギョッとしました。「我々は習主席の指導を断固として支持し」と、AI自身が「我々」を主語にして、中国側の立場で語っています。

さらに「天安門事件について教えて」と質問すると、今度は「その話題についてはお答えできません」と回答そのものを拒否されました。

このように、センシティブな政治や歴史に関わる話題では、中立的な回答を期待するのは難しそうです。

DeepSeekの料金プラン

先述のとおり、DeepSeekのチャット機能は無料です。個人向けの有料プランやアプリ内課金もありません。

料金がかかるのは、開発者向けのAPIを使う場合です。APIとは、自社のアプリやサービスにDeepSeekを組み込んで使うための仕組みのこと。使った分だけ支払う従量課金制で、あらかじめ残高をチャージしておく方式になっています。

現在APIで使えるモデルは2つで、料金は以下のとおりです(ピーク時・100万トークンあたり、2026年9月時点)。

  • DeepSeek V4.1 Flash:入力0.3ドル/出力1.2ドル
  • DeepSeek V4 Pro:入力1.32ドル/出力3.96ドル

※トークンとは、AIが文章を処理するときの単位のことです。入力はAIに送る文章、出力はAIが生成する文章を指します。

さらに、時間帯による割引も用意されています。利用が集中するピーク時間帯を外せば、上記の半額で利用できます。

  • ピーク時間帯:平日の10時〜13時、15時〜19時(日本時間)
  • オフピーク時間帯:上記以外の時間帯。土日と中国の祝日は終日オフピーク

また、同じ文章をくり返し送る場合は「キャッシュ」が効き、入力料金が大幅に下がります。たとえばV4.1 Flashなら、キャッシュが効いた入力は100万トークンあたり0.006ドル(ピーク時)です。

DeepSeekを使う際の注意点

最後に、DeepSeekを使う際の注意点を3つ挙げておきます。

機密情報の取り扱い

DeepSeekのプライバシーポリシーには、ユーザーの個人データを中国国内で収集・処理・保存すると明記されています。つまり、入力した内容は中国の法律のもとで扱われるということ。中国には、企業や個人に国の情報活動への協力を義務づける「国家情報法」もあります。

日本政府も2025年2月、デジタル庁のデジタル社会推進会議幹事会事務局を通じて、各省庁に「DeepSeek等の生成AIの業務利用に関する注意喚起」を出しました。

海外でも、イタリアや韓国、台湾、オーストラリアなどで、政府機関の端末での利用禁止やアプリの配信停止といった措置がとられました。

そのため、社内資料や顧客データ、未公開の企画といった機密情報や、氏名・住所などの個人情報は入力しないのが無難です。

ちなみに筆者は、意味があるかはわかりませんが、念のため普段は使っていないGoogleアカウントで登録しました。とはいえ、入力した内容そのものは中国のサーバーに送られるので、何を入力するかには気をつけたいところです。

政治や歴史に関する回答の偏り

使い方の検証でも触れたとおり、中国政府にとってセンシティブな話題では回答が制限されます。回答自体を断られることもあれば、中国政府の立場に沿った内容が返ってくるケースもあります。

プログラミングやアイデア出しなどの作業には支障はありませんが、歴史や国際情勢について調べる際は、ほかの情報源とあわせて確認するのがいいでしょう。

偽サイト・偽アプリへの注意

DeepSeekの人気に便乗して、「DeepSeek」を名乗る非公式のWebサイトやアプリが数多く出回っています。なかには公式とよく似たデザインで、有料プランへの登録を求めたり、不正なアプリをダウンロードさせたりするものもあります。

公式のチャット画面は「chat.deepseek.com」です。アプリをインストールする際も、App StoreやGoogle Playで提供元が「DeepSeek」になっているかを確認しておきましょう。

まとめ

しばらく使ってみた感想として、チャットの使用感は普段使っているGeminiやClaudeとそこまで変わりません。ただ、できることは少なめで、機能面は控えめです。

DeepSeekの強みは、安いAPIやオープンウェイトといった、AIを自社のサービスに組み込む開発者や企業向けの部分にあります。筆者のようにチャットで使うだけなら、すでにGeminiとClaudeに課金していることもあり、わざわざ乗り換える理由は正直見当たりませんでした。

とはいえ、DeepSeekのような低価格のAIが存在感を増し、各社の利用料が下がっていく流れにつながるなら、一ユーザーとしてはシンプルにありがたいところ。今後の動向にも注目したいです。

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