中小企業は大手企業と比べて、採用で苦戦を強いられやすい状況です。
中小企業庁が発表する「小規模企業白書(2021年版)」では、従業員規模別の求人倍率のデータが紹介されていますが、規模の小さな企業ほど求人倍率が高くなっています。
参照:中小企業庁:2021年版「小規模企業白書」第3節 雇用の動向
求人倍率とは求人数を求職者数で割った数値で、この数値が高ければ高いほど求職者を獲得しづらい状況だといえます。規模の大きな企業はここ十数年、求人倍率1.0倍あたりで安定して推移していますが、小規模な企業は多い年で求人倍率9.9倍になったことも・・・。
9.9倍という数字は、簡単に言えば1人の求職者を獲得するのに10社が競い合っているという苛烈な状況です。これが中小企業における採用の現状なのです。
このような現状において、中小企業が優秀な人材を採用するにはどうすればいいのでしょうか?
大手企業と比べて知名度や待遇面で劣る中小企業が、大手と同じ採用戦略を採っても勝ち目はありません。特に各種求人媒体は知名度や資金力のある大手企業が有利になる場所なので、何の戦略もなしに求人媒体に出稿するだけでは、採用活動の成果は得られないでしょう。
そこでおすすめしたいのが、自社の採用サイトの作成です。
採用サイトとは、企業の魅力や仕事内容を求職者にアピールするために作る自社オリジナルの求人特化型サイトのことです。掲載できる情報の内容や量に制限がなく自由度が高いため、求人媒体よりも企業独自の価値観や魅力、リアルな仕事内容を求職者に訴求できるメリットがあります。
採用サイトと聞くと「作るのが難しそう」「制作費が膨大になるのでは」といった心配があるかもしれませんが、WordPressのテーマ(テンプレート)を活用すれば高品質な採用サイトを安く手軽に構築できます。
以下では、採用サイトを持つべき理由やWordPressで採用サイトを作るメリットをさらに掘り下げて解説します。採用サイトの構築におすすめのWordPressテーマもご紹介するので、採用力を強化したい方はぜひ読み進めてみてください。
目次
なぜ求人媒体依存はいけないのか? 採用サイトを持つ必要性
求人媒体は母集団形成に有効ですが、そこだけに依存していると、自社の採用力は上がりません。コストも多くかかります。なぜ求人媒体依存がいけないのか、その理由をご紹介します。
求人媒体だけではメッセージを伝えきれない
掲載できる情報量に制限がある求人媒体では、自社の魅力を伝えきるのは難しいです。
仕事内容や価値観、社風をアピールして大手との差別化を図ろうにも、掲載スペースや文字数の都合上、情報量が足りずにメッセージが伝わらないこともあるでしょう。多くの情報を載せたい場合、上位のプランに申し込む必要があり、コストがどんどん嵩んでいきます。
また、定型のフォーマットに押し込めないといけないので、コンテンツの見せ方の自由度も低いです。自由なレイアウトで情報を掲載できる有料オプションが用意されているケースもありますが、採用予算の範囲内に収まるかどうかが心配になるはずです。
その点、採用サイトであれば掲載する情報量やコンテンツの見せ方に制限はありません。自社の価値観や社風、事業内容、社員インタビューなど、必要なメッセージをすべて伝えられます。
求人媒体は資産にならない
求人媒体は掲載期間が存在するので、採用のためのコンテンツ = 資産が積み上がりません。採用の都度、新たに求人広告を出稿するためのコストも嵩んでいきます。
一方、自社の採用サイトに掲載するコンテンツは永続的な資産です。微調整は必要だとしても、一度作成すれば翌年以降も使いまわせます。
ちなみに、求人媒体に掲載する求人広告の著作権は通常、求人媒体側にあります。使われているコピーや写真を他の求人媒体で許可なく使うことはできません。「自社に関する広告なのだから自由に使って問題ないのでは?」と思われるかもしれませんが、著作権侵害になるのでNGなのです。
著作権が自社にないのであれば、それは資産ではありません。採用に関するコンテンツは自社の管理下で自由に活用できる形が望ましく、その意味でも、自社の採用サイトを持つ意義は大きいといえます。
そもそも採用サイトや採用ページは求職者に見られている
もしかしたら「採用サイトなんて作っても、どうせ求職者は見ないのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、採用サイトは選考プロセスにおいて求職者によく見られています。
エン・ジャパン株式会社の調査によると、転職活動中に採用ページを確認する求職者は70.4%にものぼり、多くの求職者が採用に特化した情報を求めていることが伺えます。
また、パーソルキャリア株式会社が運営するメディア「d’s JOURNAL」の記事によると、応募前の情報収集段階では求人媒体のページが最も見られていますが、それ以降になると企業ホームページが最も多く見られているとのこと。ここでの企業ホームページには採用サイトや採用ページも含まれていると考えていいでしょう。
参考:転職希望者は、求人サイトのどこを見ている?【20代・30代が重要視する項目を調査】 | d’s JOURNAL(dsj)- 採用で組織をデザインする
求人媒体経由である程度の応募が集まる状態であったとしても、応募後の求職者の不安を解消したり志望度を底上げしたりするのに採用サイトは貢献します。採用活動において重要な役割を果たす存在です。
中小企業がWordPressで採用サイトを作るメリット
ここまで見てきたとおり、採用サイトを作るメリットは非常に大きなものです。求人媒体依存を脱却して安定した採用を実現するために採用サイトは欠かせません。
「採用サイトが有用なのは理解できるけど、どうやって作ればいいのか・・・?」
そのような疑問・不安があるかもしれませんが、中小企業の場合、WordPressを利用することで、高品質な採用サイトをコストを抑えて構築できます。以下では、なぜWordPressで採用サイトを構築すべきなのか、その理由を解説します。
「そもそもWordPressって何?」という方は、以下の記事を参照ください。
WordPress(ワードプレス)をご存じですか? WordPressとは、無料で使えるCMS(コンテンツマネジメントシステム)のことです。個人ブログから企業のコーポレートサイト、オウンドメディアまで、さまざまなWebサイトを構築できます。 WordPressの市場シェアは世界中のWebサイトの...
制作コストを大幅に抑えられる
WordPressなら、制作会社に依頼する場合と比べて、採用サイトの制作コストを大幅に抑えられます。
資金が潤沢にある大手企業なら、採用サイトの制作代行や採用コンサルティングを受ける余裕があるかもしれませんが、中小企業は予算を捻出できないケースも多いはず。
その点、WordPressならかかる制作コストは人件費を除けばドメイン取得費やサーバー代、テーマ(テンプレート)の購入費用くらいです。数万円の投資で済みます。
「WordPressでサイトを構築する場合、どのくらいの費用がかかるのか?」 WordPressのファイル自体は無料でダウンロードできますが、ドメイン代やサーバー代、テンプレート購入費など、サイトを構築するにはいくつか費用が発生します。 そこでこの記事では、WordPressサイトの構築...
制作・運用・管理を委託する必要がない
採用サイトをWordPressで自作すれば、制作会社に制作・運用・管理を委託する必要はありません。
採用サイトに特化したテーマを使えば、求職者の目を引く採用サイトを簡単に自社で作れますし、更新や修正も自社のスタッフでおこなえます。高度な専門知識や複雑な操作は必要なく、最低限のITリテラシーがあれば十分です。無料ブログを使った経験があればWordPressもほとんど抵抗なく触れるでしょう。
採用コンサルティングならまだしも、採用サイトの制作だけなら業者に依頼する必要性はほとんどないといえます。WordPressを使って内製することをおすすめします。
採用サイトに特化したテーマ(テンプレート)がある
採用サイトの作成に特化したWordPressテーマを使うことで、ゼロからサイトを作る手間を省けます。スタッフインタビューページやエントリーページなど、採用サイトに欠かせないコンテンツを簡単に作れるテーマも存在するので、高品質な採用サイトを素早く手に入れることができます。
ブログ機能を追加できる
WordPressにはブログ機能がデフォルトで搭載されているので、社員ブログや社長ブログによる継続的かつタイムリーな情報発信も容易です。
業務内容や企業の魅力、社内スタッフのプライベートなど、多彩な切り口で情報を発信することで求人エントリーを増やせるかもしれません。SEOに成功すれば検索からの自然流入も期待できるようになり、求人媒体への依存度も下げられます。
採用サイトの自社制作に特化したおすすめWordPressテーマ
以下では、採用サイトの自社制作に特化したWordPressテーマをご紹介します。
ISSUE
ISSUEの概要まとめ | |
特徴 | 各所のスタイリッシュなエフェクトや豊富な導線設計、コンテンツが少ないベンチャーや零細企業でも綺麗に仕上がる。 |
主要機能 | キャッチコピーが印象に残るファーストビュー 画像素材が少なくても綺麗にまとまるデザイン設計 スプリット仕様のスタッフページ 対談・インタビューを想定した専用ページ |
価格 | 46,000円(税別) |
販売ページ | https://tcd-theme.com/tcd106/ |
「ISSUE」は、最先端企業のリクルートサイトをコンセプトに開発されています。
サイト全体を通して、各所のエフェクトが印象に残るデザインです。スプリット仕様のスタッフページも社員紹介に最適です。対談・インタビュー用の専用テンプレートも用意していますので、うまくご活用いただければ、採用サイトとしての厚みが一気に増すことでしょう。
とはいえ、用意するハードルが高いことも事実です。その点ISSUEは、スモールスタートできるテンプレートなので、最初はスタッフ紹介、対談コンテンツが無くても問題ありません。数枚の固定ページ(事業案内、募集要項等)とお知らせ記事などがあれば、成り立つ設計になっています。
MASSIVE
MASSIVEの概要まとめ | |
特徴 | インパクト抜群のデザイン、レイアウト通りにコンテンツを埋めていくだけで事業内容・社歴・インタビューページが完成 |
主要機能 | 自由自在に構築できるランディングページ(LP)型トップページ 自由度の高いヘッダー機能 自由度の高いLP制作機能 スタッフのインタビューページ作成機能 |
価格 | 25,800円(税別) |
販売ページ | https://tcd-theme.com/tcd084 |
「MASSIVE」は、力強い印象に溢れた採用サイト特化型WordPressテーマです。
ファーストビューで強烈に目を引く2分割ヘッダーや太めのフォントウェイトなど、視覚に与えるインパクトは抜群。企業メッセージを最大限にアピールできます。
事業内容や社歴、スタッフインタビューはもちろん、選考フローやFAQ、アクセスマップなど、採用サイトに欠かせないコンテンツは用意されたテンプレートを使って簡単に作成できます。
TCDテーマの中でもよく売れているロングセラーであり、採用サイトを作成するならまず候補に入れておきたいテーマです。
AGENT
AGENTの概要まとめ | |
特徴 | 先進的なデザイン、設定項目を埋めていくだけで秀逸なエントリーページを簡単に作成可能 |
主要機能 | エントリーページ作成機能 パララックスデザイン |
価格 | 12,980円(税別) |
販売ページ | https://tcd-theme.com/tcd033 |
「AGENT」は、国内初の求人採用に特化したWordPressテーマです。
最近のTCDテーマと比べれば機能の豊富さでは劣りますが、パララックスデザインを採用した先進的なデザインは現在でも十分に通用します。企業イメージの向上につながり、求職者への印象付けに良い影響をもたらすはずです。
設定項目を埋めていくだけで秀逸なエントリーページを簡単に作成できる点も魅力的。HTMLやCSSなどの専門知識は不要です。
採用サイトを成功に導くための5つのポイント
最後に、採用サイトを構築・運用する際のポイントを5つお伝えします。
流入経路を確保する
採用サイトを作っただけでは、求職者からのアクセスは期待できません。
SEOに強い自社サイトや多くのフォロワーを獲得しているSNSアカウントなどを持っていない限り、最初は求人媒体や広告経由で採用サイトに人を集めるのが現実的です。
並行して、採用サイトのブログ領域にコンテンツを継続的にアップしたりSNSのアカウントを育てたりして、求人媒体や広告以外の流入経路も強化するといいでしょう。
求職者のニーズに合致したメッセージを発信する
企業からの一方的なメッセージは求職者に響きません。
採用もマーケティングの一種です。求職者が求めるものは何かを把握して、彼(彼女)らに刺さるメッセージを採用サイトで発信する必要があります。
求職者のニーズは時代背景や業種・業界などの要因によって変化しますが、以下のような多くの求職者が抱くであろうニーズに配慮して採用メッセージを組み立てることをおすすめします。
求職者のニーズ | 伝えるべきメッセージ、コンテンツの例 |
事業内容に共感できる企業で働きたい | なぜこのビジネスを始めたのか? 誰の生活・人生を良くしたいのか? 業界をどう変えていきたいのか? |
キャリアの展望が見える企業で働きたい | キャリアプランの詳細、既存社員のキャリア形成の例 |
自分の仕事の意義を実感しながら働きたい | 社会あるいは特定の層に対する貢献度合い・影響力、やりがいを感じる瞬間の事例(ケーススタディ) |
将来性のあるスキルが身に付く企業で働きたい | 身に付くスキルとその根拠の一覧、研修や教育制度・仕組みの紹介 |
柔軟な働き方ができる企業で心地良く働きたい | リモートワークやフレックスタイム制などの紹介 |
採用ターゲットを明確にする
誰を採用したいのか? 逆に誰を採用したくないのか?
ここを明確にして、「求める人物像」としてハッキリと打ち出す必要があります。
よくある間違いが、「リーダーシップと主体性に溢れた人材を募集!」のような曖昧で一般的な人物像を採用ターゲットにしてしまうことです。
リーダーシップや主体性といった言葉は定義が曖昧すぎるので、求職者からすれば「リーダーシップ・・・主体性・・・う~ん、自分にそれがあるのかよくわからないなぁ」という感覚になります。曖昧で一般的な人物像ではターゲット設定として全く機能しないわけです。
下手をすれば「リーダーシップ? 主体性? ありきたりで適当なこと言ってるなぁ、この会社」というマイナスのイメージを持たれてしまいます。
だからこそ、採用ターゲットに関するメッセージは極めて具体的でなければいけないのです。以下、ターゲットを明確にして絞り込むためのメッセージ例です。
このくらい明確に「こういう人はOK、こういう人はNG」と打ち出すことが重要です。ここを曖昧に濁せば、採用ミスマッチにより企業・求職者の両者が不幸になります。
具体的な事実を多く提供する
求職者が求めるのはその会社に関する事実です。
曖昧な言葉で誤魔化したり、リアル感のないイメージ写真を多用したりした、事実がまったく伝わらない採用サイトではいけません。業務内容、職場環境、会社の業績、待遇、キャリアのイメージ、一緒に働く仲間など、提供できる事実はすべて伝える必要があります。
広告コピーの世界では「伝えれば伝えるほど売れる」という至言があります。読み手が求める情報を多く掲載すればするほど広告の反応は上がり売上が増えるというものですが、これは採用サイトのメッセージも同じです。
求職者が求める事実を採用サイトに多く盛り込めば盛り込むほど、彼(彼女)らが抱えている不安や疑問が解消され、同時に志望度が上がり、エントリー数の増加や内定承諾率の改善につながります。
求人媒体では掲載できる情報量に限界がありますが、自社の採用サイトは違います。掲載できる情報量に制限がないという採用サイトのメリットを最大限に活かしましょう。
他企業との違いを明確にする
採用サイトのコンテンツは「その会社ならでは」という内容に仕上げる必要があります。
もし、他の企業の採用サイトにそっくりそのまま掲載しても違和感がないようなら、自社の強みや特徴は求職者に何一つ伝わりません。残るのは「ここも他と同じことしか言ってないなぁ」という印象だけであり、求職者から選ばれることはまずないでしょう。
だからこそ、他企業との違いを明確に打ち出す必要があるのです。
ただし、競合と異なるメッセージを発信すればそれで良いというわけではなく、求職者のニーズにも配慮しなければ効果的な採用メッセージは作れません。
そこで以下のように、求職者のニーズ・採用競合・自社という3つの視点を駆使して採用メッセージを考えることをおすすめします。
- 求職者のニーズに対して、
- 採用競合が言及しておらず、
- かつ自社が提供できる独自の価値は何か?
このような視点で考えると、自社ならではの強みや特徴、求職者にとってのメリットが炙り出されます。
まとめ
採用サイトは企業の採用力を強化するために必須の存在です。
中小企業の場合は特に、採用サイトの存在が採用の不利を覆すための鍵になります。
予算が潤沢になくても、採用サイト作成に特化したWordPressテーマを活用すれば、質の高い採用サイトを簡単に構築できるので、作成のハードルはそこまで高くはありません。
>> WordPressテーマ「MASSIVE」の詳細はこちら
>> WordPressテーマ「AGENT」の詳細はこちら
求人媒体依存を脱却し、質の高い求職者を安定して集めるためにも、採用プロセスの中に採用サイトをぜひ組み込んでみてください。
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