2024年最後のメジャーアップデート、WordPress 6.7「Rollins(ロリンズ)」で実装された新機能や変更点を解説いたします。
目次
WordPress 6.7のアップデート概要
現地時間2024年11月12日にリリースされたWordPress 6.7。コードネーム「Rollins(ロリンズ)」。各種ブロックごとの細やかな改善を除き、特に印象に残るアップデート内容は次の通りです。
今年期待されていた共同編集機能は、次回以降のアップデートに持ち越されたようです。
WordPressのアップデート方法はこちらの記事を参考にご覧ください。
WordPress本体の更新(アップデート/ダウングレード)する方法について解説します。 アップデートに大幅な変更があると、テーマやプラグインに影響を与える可能性があります。アップデートの前には下記を参考に必ずバックアップをとってください。 WordPressのアップデートは...
新しいデフォルトテーマ「Twenty Twenty-Five」
毎年最後のメジャーアップデートに同梱されるデフォルトテーマですが、今回も新たに「Twenty Twenty-Five」が追加されました。
前作の「Twenty Twenty-Four」と比較するとかなりシンプルになっているように見えますが、その分、用意されているパターンの量が40→70に大幅に増えています。
パターンを自由に組み合わせて使ってもらうために、デフォルトは限りなくプレーンな状態にしているのでしょう。
サイトエディタ周りの仕様変更
ブロックテーマで使えるサイトエディタ(外観 > エディター)まわりの新機能をご紹介いたします。
データビュー機能のUI変更
データビュー機能とは、サイトエディタ内のこの部分です。
上記は登録されているパターンを閲覧しているデータビューです。WordPress 6.7では、このデータビューのUIに改善が加えられました。右端にある設定項目のUIが新しくなっています。
比較するとこのような感じです。
- WordPress 6.6
- WordPress 6.7
テキストベースだったのが、視覚的にわかりやすくなり、順序やページあたりの項目数が瞬時に変更できるようになっています。
また、レイアウト変更も直感的なアイコンで切り替え可能になりました(テーブル/グリッド)。
プレビューのサイズも直感的に変更可能です。
スタイルにタイポグラフィの追加
スタイル(外観 > エディター > スタイル)に新たにタイポグラフィが追加されています。
これにより、サイトのカラー(パレット)とフォントを別々で設定できるようになりました。
「このカラーリングで、フォントは別のものに変えたい。」という要望に応えられます。自由度の高い「Twenty Twenty-Five」を使ってサイトを制作する際に便利です。
また、下記箇所では、フォントサイズプリセットを追加できます。
ここに登録したフォントサイズを任意の箇所に適用できます。
特におもしろいのは、「フルードタイポグラフィ」というオプション。画面やビューポートに合わせて動的にサイズが拡大(縮小)される設定です。
- フルードタイポグラフィを有効化
- カスタムフルード値を有効化
- 最小値を設定(例:10px)
- 最大値を設定(例:34px)
例えば、このように登録したフォントプリセットをお好きな箇所に設定して確認してみてください。
このように画面サイズを変化させると、設定した最小値〜最大値の範囲内で動的にサイズが変更されることがわかります。PCやタブレット、スマホなどデバイスを問わず、読みやすいテキストを実現できますね。
ブロック周りの仕様変更
ブロック周りに追加された細やかな仕様変更や改善点についてご紹介いたします。
グループブロックに影を追加可能に
グループブロックに影を追加できるようになりました。
上記のように枠線がなくても立体的に見せられるようになったので、表現の幅が広がっています。
リストブロックの項目ごとに色を設定可能に
従来もリスト全体のテキストや背景の色は設定できましたが、WordPress 6.7からはリスト内の項目ごとに色を設定できるようになりました。
リスト内の一部のみを際立たせたいときなどに便利です。
引用ブロックに背景画像を追加可能に
引用ブロックに背景画像を追加できるようになりました。
引用元サイトのイメージ画像等を設定する想定でしょうか。ただ、オーバーレイ機能がないので、画像や文字色の組み合わせによっては視認性が落ちるため、実用性があるかは微妙なところです。
ボタンブロックに背景色を追加可能に
ボタンブロックに背景色を追加できるようになりました。
複数のボタンをひとまとめにして整理可能です。
その他の新機能や仕様変更
HEIC画像がサポートした?
iPhoneやiPadで撮影した画像の拡張子「HEIC」をサポートしたようです。
ただし、ご利用のサーバーがHEICをサポートしていないと、正しく機能しません。
手元のローカル環境や弊社の検証用環境(エックスサーバー)でテストしたところ、どちらも対応していませんでした。
対応しているかどうかは、ダッシュボードの
で確認可能です。
上記箇所、「ImageMagick 対応ファイル形式」の項目内に「HEIC」があれば正常に表示されるはずです。
ただ、HEICはほとんどのブラウザでサポートされていないので、手元で変換してからアップロードする方が無難かもしれません。
>> HEIC対応ブラウザ一覧
iPhoneで撮影した写真は、HEIC形式のファイルで保存されます。 JPEGなどの汎用的な画像ファイルフォーマットと異なり、WordPressサイトにアップできてもブラウザ上には表示されません。WordPress 6.4系以前のバージョンでは、アップロードすることもできません。 「iP...
エディタ内でズームアウトプレビューが可能に
エディタ内でズームアウトプレビューが可能になりました。ページ全体を俯瞰できるプレビュー機能です。
全体像の把握がしやすく、ブロックより大きな塊のパターンごとに追加や並び替えがしやすくなるメリットがあります。
個人的には、このアップデートでブロックエディターの使いにくさが大きく改善されたように思います。
まとめ
WordPress 6.7で実装された新機能や仕様変更箇所をご紹介いたしました。
今回のメジャーアップデートは、
- 新デフォルトテーマ「Twenty Twenty-Five」の追加
- UI変更によるユーザー体験の改善(サイトエディタ周り、ズームアウトプレビュー)
- ブロックごとの細かな仕様変更
が中心でした。
目新しい機能が追加されるというよりは、操作性の改善に重きをおいたアップデートでした。ズームアウトプレビューのおかげでブロックエディターが使いやすくなったので、ぜひアップデートしてみてください。
WordPressのアップデート一覧表
バージョン | 名前 | リリース日 (現地時間) |
解説記事 | WordPress公式 |
6.7 | Rollins (ロリンズ) |
2024年11月12日 | 解説記事 | |
6.6 | Dorsey (ドーシー) |
2024年7月16日 | 解説記事 | |
6.5 | Regina (レジーナ) |
2024年4月2日 | 解説記事 | |
6.4 | Shirley (シャーリー) |
2023年11月7日 | 解説記事 | |
6.3 | Lionel (ライオネル) |
2023年8月8日 | 解説記事 | |
6.2 | Dolphy (ドルフィー) |
2023年3月30日 | 解説記事 | |
6.1 | Misha (ミーシャ) |
2022年11月15日 | 解説記事 | |
6.0 | Arturo (アルトゥーロ) |
2022年7月1日 | 解説記事 | |
5.9 | Josephine (ジョセフィン) |
2022年2月18日 | 解説記事 |
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